EUとロシアのはざまに立つモルドバ
よく受ける質問に「モルドバはEU寄りですか、 ロシア寄りですか」というのがあります。 モルドバは東ヨーロッパに位置していますが、 宗教的に言えば明らかにロシア正教というキリスト教を信じている 国民が圧倒的に多く、 カトリックやプロテスタントのキリスト教とは雰囲気が違います。
日本は仏教、神社、キリスト教など様々な宗教がありますが、 モルドバは圧倒的にロシア正教の国です。 モルドバでは宗教活動は自由ですが、 内なる国教としてロシア正教が存在しています。 道のあちこちにキリスト像を見かけます。 日本でしたら道のあちこちにお地蔵さんの石像を見かけますがモル ドバではキリスト像です。
ロシア正教は昔ギリシャ正教と呼ばれていました。オスマン・ トルコ帝国によってコンスタンティノープルが陥落してイスタンブ ールと呼ばれるようになってからギリシャ正教の中心がモスクワに 移されロシア正教となりました。
古代ローマ帝国時代のキリスト教会はカタコンベ(地下教会) でした。迫害を逃れるため地下活動をしていました。313年キリ スト教公認、392年キリスト教国教化。 公認とはほかの宗教と同等にローマ帝国全域での宣教を認めますと いう意味で地下教会時代の終了を意味しています。 国教化とはキリスト教以外の宗教活動は禁止しますという意味があ ります。
西ローマ帝国は476年ゲルマン民族の大移動によって滅亡しまし たが、東ローマ帝国は1453年オスマン・ トルコ帝国によってコンスタンティノーブルが陥落するまで続きま した。東ローマ帝国の国教はギリシャ正教でした。 コンスタンティノーブルは第二のローマと呼ばれ、 ギリシャ正教の中心がモスクワに移動してからはモスクワが第三の ローマとなってギリシャ正教はロシア正教と呼ばれるようになりま した。
モルドバはローマ帝国時代にはダキヤと呼ばれていましたがそのあ とモルドバ公国となり現在はモルドバ共和国となっています。 高校の歴史教科書に掲載されている歴史地図をよく見るとモルドバ 公国という表示を見つけることができます。
そういう歴史的背景を持っているモルドバは現在EUから経済支援 を受けて幹線道路がEUとまっすぐ繋がり美しく舗装されています 。 幹線道路に面してトラクターやコンバインの展示場を最近数か所見 ることができるようになりました。モルドバはあと5年もしたら馬 車がいなくなり農業は機械化され農産物がどんどんEUに輸出され る時代が来るでしょう。
近年、議会や政府はEU寄りの政策を続けています。 ところがここにきて大統領選挙方式を議会の議員票決で選出する方 式から、 国民投票で選出する方式に改正してみるとロシア寄りのプーチン支 持者である40代のドドン氏がモルドバの大統領に就任しました。
経済支援はEUから受けていても心情的にはロシア人大好きという EUとロシアのはざまに立つモルドバ人像が浮かんできます。 写真はフォトアーティストみやこうせいさんが撮影した首都キシナ ウの中心にある教会。(Ⓒみやこうせい、写真の転載を禁じます) (報告者:沓澤正明)
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