テレビや新聞によると最近モルドバの領土内にある沿ドニエストル[共和国]の記事が増えてきています。現地ではトランスニストリアと呼ばれています。でも日本人にはよく分かりません。私はこの沿ドニエストル[共和国]に3回行ったのでその時のようすを報告します。
そこに入るにはドニエストル川を渡らなければなりません。橋を通って渡ると検問所があります。ロシアの平和維持軍(PKO)が境界線を警備しています。パスポートを提示して無事通過して中に入りました。しかし、そこは[共和国]となっていて国連未承認国です。ロシアが承認していますが日本政府は承認していませんのでパスポートを提示したからといって安全を保障されているとはいいがたいです。この地域はモルドバの主権が及んでいません。戦車が草むらに隠されているのが見えると緊張します。
ここから先は人間の信頼関係でしか安全保障はありません。
もし沿ドニエストル[共和国]
やロシアが不利益をこうむる人物であると評価されたらどうなるか
分かりません。
私たちはモルドバに対してもロシアに対しても友好的な活動をして
いる民間人であることを常にアピールしていなければ信頼関係を構
築できないわけです。
生きていく上ですべての人を味方にすることはできないわけですか
ら簡単ではありません。日本にいるときもモルドバにいるときも、
沿ドニエストル[共和国]
にいるときも友好的な考え方に徹していないといけないわけです。
友好とはそうです。
モルドバの首都キシナウにはOSCE(全ヨーロッパ安全保障機構)のピンク色の5階建てのビルがあります。そこでは10台ぐらいの車がいつも駐車していて平和維持活動や領土の統一のための努力が続けられています。
私が入っていったエリアはドバッサーリという人口3万人くらいの地方都市です。1992年、1993年に戦争がありました。青年が2000人ぐらい死にましたので追悼記念碑が街の中心に建っています。
ドバッサーリはモルドバ人が多く暮らしていて比較的安心して往来できます。
私たちが行くと高校生がたくさん集まってきて歓迎してくれました。モルドバの民族衣装を着た高校生男女5人がパンと塩で歓迎式をしてくれました。ドバッサーリ市民センターでコンサートをしました。モルドバ音楽院のダリア・ラドゥ院長がモルドバの男女の歌手を連れて行きました。日本からはピアニスト武田有賀先生がモルドバの歌を採譜して演奏しました。それはダリア・ラドゥ先生の歌でしたので思わずラドゥ先生も歌いサプライズとなりました。
センターを埋め尽くした高校生たちはモルドバの歌に大喜びでした。高校生は歌やダンスが上手です。日本の高校生と同じで笑ったりはしゃいだりしてコンサートを楽しみました。はじめて見る日本人にも興味を持ったに違いありません。このようにして友好が芽生えていきました。
2015年5月にドバッサーリのサナトリウム(保養施設)やコチエル神学校に神戸平和研究所の杣浩二理事長御一行をご案内しました。ドニエストル川の川岸に降りて行って川に杣理事長が花束をささげ、アメリカ人宣教師ジョシュさんが世界平和を祈りみんなで輪になって黙とうしました。祈りには力があります。きっと平和が維持されますように。もう二度とここで青年たちが死なないように。
2017年10月、3回目の訪問は東京のシンギンザレイン[虹の瞳とケイイチ]がコチエル神学校でコンサートをしました。コチエル神学校はロシア正教の教会が経営している小中学校でまだ小学1年くらいの少女が憂愁に震えるような声で歌いました。それは今回7月に『モルドバGallery写真・水墨画展』で公開予定のたけだゆか先生の少女の情景を描いた水墨画を彷彿とさせる歌でした。祈りの込められた歌でした。どうぞ少女の水墨画は会場でご覧ください。この水墨画作品はモルドバの国立図書館で初公開され館長の記者発表でも絶賛され、ラジオでも館長が解説しモルドバ人が見た初めての水墨画となりました。
コチエル神学校ではケイイチさんが作詞作曲した代表作『虹色の世界地図』を虹の瞳さんが世界平和の願いを込めて歌いました。沿ドニエストルが平和の聖地になりますように。(文:沓澤正明、写真:みやこうせい・ケイイチ)
Posted in: About us,archives
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