私たちは「はばたく」という絵をシンボルにして 昨年は走り抜きました。
今年は黎明(れいめい)です。武田有賀さんが絵を描いて下さいました。
今はまだ混沌としています。いろいろな思惑が絡み合っていて、国の方向を誰もはっきりと思い描くことができないのです。
だから、働ける能力のある多くの人は国外に出稼ぎに行きます。
でも、こんなに貧しいのにこの国には不安はあまり感じられません。
みんな今日の一日を生きるのに精一杯だからだと思います。
病気の人も多いです。道路もほとんど舗装されておらずまだまだ馬車が使われています。
でも伝承音楽や伝承舞踊がよみがえり、国民全てが文字を読み書きできるだけでなく、貧しい農家の子供でも代表的な詩を100も200も覚えていて詩を朗読してくれるのです。
東ヨーロッパ最貧国と言われながらも明るい子供達の笑顔にこの国の黎明を見るのです。
それはたとえて言えば…さ霧消ゆる みなと江の…ではじまる「冬景色」という日本の唱歌に似ています。
唱歌「冬景色」の3番
嵐吹きて 雲は落ち
時雨(しぐれ)降りて 日は暮れぬ
もし ともしびの 漏れ来ずば
それと分かじ 野辺の里
そういう情景を思い浮かべます。私は北海道の富良野・美瑛出身です。
そこは丘が連綿と続いています。モルドバと同じ風景です。
週刊新潮2月23日号に北海道の富良野・美瑛の冬景色の写真が4葉掲載されました。
真っ白い雪ばかりの丘を狐が1匹だけ歩いていたり、丘の頂上にたった1本の木があるだけの冬景色です。
夜のとばりが降りて暗い闇につつまれる時、そういう時も人が一人で丘を越えて行こうとすることがあるのです。そこに民家のともしびがほんのりと見えてきたら嬉しい気持ちになります。
そのような情景が黎明です。
(モルドバ復興支援協会 事務局長 沓澤正明2012.3.1)
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