2015年8月17日月曜日

京へのいざない(つづき)(2015.7.24第3日)

 祇園祭あとまつりの山鉾巡行を烏丸御池の交差点で楽しむことは長い一日の始まりでした。私たちは最後に船の形をした山鉾を目撃しました。新しくて大きな山鉾でした。それが終わると再び地下鉄に乗り今出川駅でおり、神戸平和研究所のアルフォード(7人乗り)に乗り込むと金閣寺拝観に行きました。日本の三大祭りの一つ祇園祭のために京都市内の中央部分は大きく交通規制され車の乗り入れが困難でしたので新幹線と地下鉄を乗りついでようやく車にたどり着いたわけです。京都には日本を代表する有名な社寺仏閣がたくさんありますが、外国人の印象に残るのは圧倒的に金閣寺という意見が多いようでした。ここは記念写真を撮るところであり、庭園を散策するとこ ろであり、また休憩 所でお茶を楽しむところです。すっかり八田住職にご案内していただきました。
 そしていよいよランチタイムは南禅寺の順正という湯どうふ料理店でお部屋を予約していました。ここで10人の会食を楽しみました。「京都『国際学生の家』専務理事岩崎隆二ご夫妻を囲むお食事会」を開催しました。京都市国際交流協会の溝口智子さん、サンタClothカード展の近史子さんそれにモルドバで21年前から一緒に汗と涙を流してきた今中由美子さんが駆けつけてくださいました。杣氏、八田住職、ライサさん、バレリューさんそして私合計10人でした。
 
 今中由美子さんはロシア語と英語を自由に話すことができ、常に沓澤美喜と生死を共にするような困難な路程を乗り越えてきた日本人女性でモルドバ復興支援協会創設者の一人です。カザネスティ子供デイケアセンターについてはライサさんとともに設立者となり今日まで資金提供を惜しみなく継続してこられ伝説のような女性です。今中さんは活動の忙しい時にご主人をモルドバに同行するなどして無事家庭を持ち、長女を出産した後も活動を休むことなく、長女が小学校に入学する直前まで精力的にモルドバ訪問活動をやり続けました。その長女も高校生となっただけでなく多くの子宝にも恵まれ今は子育てで多忙な中、このようにして京都へ駆けつけてくれました。京都薬 科大学が今中さんの 母校であり、私の次男は今中さんの目覚ましい活動ぶりにあこがれて同大学に入学しすでに薬剤師4年目になりました。
 
 京都は私たちモルドバを支援するものにとって感動的な思い出がいっぱい詰まったところです。ここに集まった10人のことを書くだけでも1冊の本になりそうです。
 
 私たちは神戸を基盤に活動してきたにもかかわらず、写真展を企画して神戸市国際交流協会や兵庫県国際交流協会に相談しましたがことごとく協力を断られて悲しい気持ちでいました。モルドバは誰にも知られていませんでした。神戸市からも兵庫県からも「小さな団体」と呼ばれ、相手にされていなかったのです。その時、根田芳夫さんが京都市国際交流協会の溝口智子さんを訪れ写真展開催了解を取り付けてきてくれました。私はしばらくしてから半信半疑で溝口さんを訪問すると「いつ来られるのか、お待ちしていましたよ」と言ってくださいました。「神戸の団体なのに本当にここで写真展を開催させていただけるのですか」と思わず聞いてしまいました。「全然問題あ りませんよ。この用 紙に今書いて申し込んで下さい」とおっしゃるので嬉しくて仕方がありませんでした。本当に広い展示場を無償で1週間使わせてくれました。私は嬉しさのあまりそれをすぐに兵庫県国際交流協会に電話で伝えましたところ、まもなく折り返し「兵庫県国際交流協会でも無償で展示場を提供するので1か月間写真展を同時開催して下さい」と電話がありました。それを根田さんに電話で伝えようとすると涙があふれ、号泣してしまいました。根田さんがすぐに京都に駆けつけてけれて一緒に喜んでくれましたそのようにして初めて私たちの活動は京都市と兵庫県に認知されたのです。
 
根田さんは東京に在住しておられ、モルドバ復興支援協会東京代表で日本モルドバ友好協会の事実上の顧問です。事実上というのは法律上の顧問ではありませんという意味です。根田さんに私は困った時にはいつも相談しています。理事長が困った時に相談に乗ってアドバイスしてくれるのが顧問です。でもいつも「顧問になりたくない」と申します。「だったら事実上の顧問です」と私がお伝えするとそれはそれで気に入っているようでいつだって困ったことがあると相談しているわけです。
 
 湯どうふ料理店「順正」は昔修行僧のいるお寺だったようで広々としていて、庭園も見ごたえのあるよく手入れのされた庭園で記念写真を撮りたくなります。岩崎ご夫妻とモルドバの要人お二人が交流するにはふさわしいところでした。杣氏にも岩崎ご夫妻をご紹介するいい機会となりました。岩崎ご夫妻は和晃技研という京都で老舗の会社を経営しておられ「モルドバの電力事情を改善するためにソーラーパネルを使った事業を立ち上げたい。ついては近くモルドバを訪問し、事業計画を立案するので協力していただきたい。こういう事業は政府や官庁を間に入れると実現するのに何年もかかるだけでなく、事業費が膨らんできて実現できないこともあるので、ここは民間の力 でできるところから すぐにでも実現したい」と力強く表明してくださいました。
 
 また、岩崎ご夫妻はモルドバが誰にも知られていないときから「モルドバの名誉領事になりたい。名誉領事館の看板を掲げたい。モルドバから要人が来日したら京都で歓迎したい」と内心を吐露してくださっています。すごいことが起こっています。
 
 近史子さんが和服姿で参加していましたので、ライサさんが和服に気を取られてお食事会が終わり記念写真を撮るときまで近史子さんをモルドバで親しくしていた近史子さんとは気が付かなかったというハプニングがありました。近史子さんは7間にわたりサンタClothカード展の売上金を寄付してくださったばかりでなく、一緒にモルドバ訪問をしてライサさんとは親しくお会いしていますまた通訳はロシア語で今中由美子さんがしてくださったのでライサさんも十分楽しそうでした。バレリューさんはすっかり日本文化に夢中でした。八田住職の紹介してくださった南禅寺の順正は京都のおもてなしのいい伝統が生きづいていました。みんな満足そうでした。
 
 順正を後にして私たちは京都市国際交流協会へ歩いて行き、表敬訪問しました。
山内清館長が出迎えて歓迎してくれました。ここは溝口智子さんの活動舞台ですので英語で施設案内をしてくれました。また、ウクライナ人の職員が案内に加わってくれましたのでロシア語でもライサさんとバレリューさんに案内してくれました。京都市国際交流協会はさすが国際都市京都だなと思わせるもてなしをふんだんにしてくれました。長年私たちの活動を見守り励まして続けて下さった溝口さんに謝意を表します。
 
 そのあと京都国立博物館へ行きました。ここは八田住職が最も案内したいところでした。植田義雄総務課長と福士雄也研究員が出迎えてくれました。応接室でモルドバの博物館事情を話すなど交流しました。また展示場を観賞しました。モルドバにも国立民族学博物館と国立歴史学博物館があります。モルドバはローマ帝国時代からあった国でロシアよりも1000以上古い歴史がありますので歴史的遺物も多く日本とモルドバの研究者が学術交流したらどんないいかと思いました。
 
 日本の文化や伝統を知ろうと思えば京都国立博物館に来さえすれば全部見ることができます。でも、収蔵されている歴史的遺物が全部展示されているわけでもなく、収蔵庫に保管されている遺物は展示物の10倍以上あって、今も研究者たちによって研究が進められていてたとえ一日中観賞したとしても到底全部を見ることはできません。
 
 私たちはここで大仏を見ました。河内長野市のあるお寺の大仏という説明でした。それを見るともう奈良の大仏を見なくてもいいかしらと思うほどでした。お寺を改修中でありその間3年間だけ保管しているという大仏でした。そして銅鐸の展示もよかったです。これらの歴史的な遺物について書こうとするとページがいくらあっても足りないでしょう。帰りに「京へのいざない」という収蔵物の写真集を記念に頂戴しました。
 
そのあとタクシーで京都駅に向かい1700京都駅発新幹線に乗って新神戸駅に向かいました。神戸では1830から2時間、レアル・プリンセサ・リカルディーナ磯上邸に日頃お世話になっている支援団体やなかなか会おうとしてもお会いできない方たちをご招待して30人にお集まりいただき「TakedaYucaピアノライブとモルドバ報告」を開催しお食事会もしました。武田有賀さんはこのサロンで今まで5回ライブを開催していただきました。スペインやドイツでピアノを研究してこられクラシックでないところがいいと思って一緒に活動していただきました。モルドバに誰か演奏家を連れていくとしたらいつだって私はこの武田有賀さんとそれに東京のシンセサイザーの奏者水谷圭一さんであると言い続けています。モルドバは音楽が盛んなところですし、ラテン系の明るい性格の民族が暮らしています。そういうモルドバ人たちと一緒に大きな音の出るコンサートを開催したいとこのようなコンサートを積み重ねています。通訳は今中由美子さん。
 
「ラテン・スラブ・アラブの響きを十分楽しんでください」と私は自由な雰囲気でモルドバを表現できればいいと思ってあいさつしました。武田有賀さんの演奏が始まるといろいろなコンサートで音楽を知っている人たちも何が始まるのだろうと思ったに違いありません。何といってもモルドバはラテン民族の国であり、そこに一緒にスラブ民族やアラブ民族も暮らしている国です。最初引いた曲は「黒い大地」というトルコの曲ですが、黒海、黒い土と言えばもうモルドバの情景です。モルドバをイメージした即興演奏、モンティの「チャルダッシュ」、竹田の子守唄そして最後は「リベルタンゴ」で大いに盛り上がりました。来場者は演奏を満喫した様子で「また呼んでほしい 」という感想が何人も のお方からいただきました。ライサさんやバレリューさんのモルドバ報告は質問者も多く2030にはなかなか終わりませんでした。「閉店です。早く帰ってください」と私は何度も声を張り上げました。今回この企画を担当し、30人を呼び集め、総司会を担当してくれたのは、沓澤美喜の国際ボランティア活動の同志でコスタリカで活動している白鳥信美さんです。白鳥さんに謝意を表します。このようにして長い一日がようやく終わりました。

①船の形をした山鉾
 
 
②レアル プリンセサ・リカルディーナ 磯上邸
 


 

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