2018年8月8日水曜日

今、モルドバで何が起きているか


 モルドバでは政治不信が再燃しています。2008年モルドバでツィッター革命がありました。2001年から2008年まで旧ソ連圏では唯一モルドバで、共産党のボローニンが大統領に選出され共産党政権が復活したのです。ところが共産党政権は腐敗していきました。ロシアのプーチン大統領とも上手くやれませんでした。プーチン大統領は共産党が嫌いでした。共産党はモルドバの優良企業を次々に国営化しただけでなく私物化して腐敗したのです。秘密警察は大統領を守る役割が特別に与えられ、大統領を守るためであれば盗聴や検閲は合法的に行うことができます。ところが、共産党時代の秘密警察は「大統領の家族を守るために、盗聴や検閲をしている」と国民に思われていました。そのようにして腐敗したのです。

 
2008年モルドバの大統領選挙がありました。といっても当時の大統領選挙は議会で行われていました。日本や国連から選挙監視団が行って「選挙は公平に行われた」と報告されましたが、学生たちが「不正が行われた」と言って集結し国会の窓を破って中に進入して占拠しました。そのようにしてボローニン大統領はひきずり下されました。当時ツィッターを使って学生たちが運動したのでツィッター革命と呼ばれました。以来共産党は勢力を失っていきました。
 
そして、10年目にして再び学生たちは国会周辺に集結し713万人のデモを繰り広げたのです。今回は首都キシナウの市長選挙が問題になっています。キシナウ市長選挙は国会議員選挙の行方を占う重要な選挙です。既に大統領選挙では親プーチン派のドドン大統領が国民投票で選出されています。以前は国会で大統領が選出されていましたが、現在は国民投票で大統領が選出されるように法律が変わったのです
 
現在、国会は親EU派が与党ですが必ずしも与党が優勢とは言えない状況が続いています。2004年に10億ドルの不正銀行送金問題が発生しました。中央銀行が10億円の融資を3つの銀行に送金しましたが銀行には届きませんでした。与党の大物政治家に流れたとうわさされていますがいまだにこの問題は解決していません。学生たちはこの不正資金が賄賂として使われているのではないか考えています。学生も国民も政治不信が続いているわけです。EUこの不正銀行送金問題を「早く解決しなさい」と何度もモルドバに申し入れています。この問題が解決できないまま長引くと今度は親EU派の与党が国民の信頼を失いかねません。キシナウ市長選挙はまさしく政治の信頼を回復する絶好のチャンスだったのですが、ここで再び不正が行われると学生たちの怒りがおさまりません。
 
EUもロシアもことの成り行きをじっと見守っています。モルドバの復興のために多額の援助をしているEUにとってはじっとしていられないような状況です。
 
問題はEUやロシアが軍事力で介入するような非常事態になってはいけないということです。
 
モルドバがEUともロシアとも仲良くやっていこうとしたら、スイスのように永世中立国になって国民皆兵制にしてEUやロシアと関係の改善をはかるか、あるいはコスタリカのように軍隊を解除して警察だけで守る国家にして福祉や教育、外交で平和をめざすなど戦争回避の道を模索する時代に来ているのかもしれません。
 
いずれにしても、私たち民間人は政治の動向に振り回されることなく、政府がしたくてもできない分野、つまりモルドバの民間人の本当に困っている人たちを援助する活動をコツコツ続けながらモルドバと日本の国際交流を続けていきたいと考えています。写真はモルドバの政府と国会。
(文と写真:沓澤正明)


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